「普通」を演じることに
疲れたADHDへ
ADHDと思われることが意外と少ない人ほど、実は人一倍気を張りながら「普通」を演じています。演じるのが上手い人ほど、生きづらくなる理由を解説します。
ADHDは普通を演じるほど苦しくなります。一番の理由は、「失敗しないための緊張状態」がデフォルトになるからです。
話を聞いているフリ、落ち着いているフリ、集中しているフリ。普通の人が無意識でできることを、ADHDは常に意識しながら生活しています。だから周りからは「ADHDだと思われることが意外と少ない」んです。
でも実際は人一倍気を張りながら、常に緊張している状態で「普通」を演じているADHDの人はかなり多いです。
「普通に見せる」のが上手い人ほど生きづらくなる
理由は、周りからの期待が増えていくからです。「この人はできる」「任せても大丈夫」——こんな風に仕事も役割もどんどん増えていきます。
でも本人は“できてる”んじゃなくて、普通に見せているだけ。誰かに相談しても「え、全然そう見えないよ」「普通にできてるじゃん」と言われて終わることがほとんどです。周りからは「もっとできる」と期待されるし、本人も「期待に応えなきゃ」とさらに無理をする——このループが続くと、限界を超えてしまうADHDの人は多いです。
じゃあどうするか。まず大事なのは、「できる」と「向いている」は別物だと理解することです。
今まで頑張って"できて"きたことが、必ずしも自分に向いているとは限りません。
向いているかどうかの判断方法
- その作業をしていて、自分が消耗していないか
- 終わったあと、苦しさより充実感が残るか
- 誰かに頼まれたからではなく、自分でも続けたいと思えるか
「できる」を基準にすると役割がどんどん増えますが、「向いているか」を基準にすると、自分を消耗させない選択ができるようになります。
🎯 実践編
当てはまるものをタップすると、対処法が出てきます(複数選択OK)
職場
「できる人」と思われ続けることに疲れ、本当は苦手な業務も無理して引き受けてしまう場面。「できるけど向いていない仕事」を一度リストアップしてみましょう。全部引き受ける前に「これは自分に向いているか」を自問する癖をつけてください。
学校
授業や部活で「ちゃんとした生徒」を演じ続け、休み時間もキャラを維持するのに疲れる場面。1日のうち少しでも「素の自分」に戻れる時間を意図的に作りましょう。1人になる時間や、信頼できる友達とだけ話す時間も立派な回復になります。
家族
「しっかりしてる子」という家族内の役割を演じ続け、弱音を吐けない場面。家族の前でも「今日はしんどい」と小さく本音を出す練習をしてみてください。いきなり全部を見せなくても、少しずつで大丈夫です。
初対面・友人
嫌われたくなくて、初対面の人には特に「感じの良い自分」を作り込んでしまう場面。「できてる」んじゃなく「演じてる」だけかもしれないと一度立ち止まってみましょう。無理に演じなくても離れていかない人が、本当の友人です。
ADHDに必要なのは、頑張ることよりも、どこまで無理をしないかを決めることです。
具体例
- 「ここまでは引き受けるけど、これ以上は断る」を先に決めておく
- 期待に応えられなくても、自分を責めないと決める
- 「普通に見えてる」のは演技だと自分自身で認めてあげる
無理をしないラインが決まっていると、期待に応え続けるループから自分を守ることができます。
「できてる」んじゃなくて、
「演じてる」だけかもしれない。
まずはそれに気づくことから。
演じるのが上手いのは、決して悪いことじゃありません。でも頑張りすぎている自分に気づいてあげることから始めてみてください。